国際司法裁判所規定(抜粋) 1945年6月26日署名 1945年10月24日発効
第34条 (裁判の当事者)
1 国家のみが、裁判所に係属する事件の当事者となることができる。
国家の権利及び義務に関する条約(モンテビデオ条約)(抜粋) 1933年12月26日署名、1934年12月26日発効
第1条 (国家の要件)
国際法人格としての国家は、次の要件を要する。
a 永久的住民
b 明確な領域
c 政府
d 他国と関係を取り結ぶ能力
第2条 (連邦国家)
連邦国家は国際法上においては、単一の法人格を構成する。
第3条 (政治的存在と承認の関係)
国家の政治的存在は、他の諸国による承認とは無関係である。承認前においても、国家は、保全及び独立を擁護し、その維持及び繁栄のために備え、したがってその適当と認めるところによって自国を組織し、その利益に関し法律を設け、その公務を執行し、その裁判所の管轄及び権限を明定する権利を有する。
これらの権限の行使に対しては、国際法による他国の権利行使以外なんらの制限も存在しない。
第4条 (権利と能力の平等)
国家は、法律上においては平等であり、同一の権利を享受し、且つその行使に関し平等の能力を持つ。各国の権利は、その行使を確保するために当該国が有する権力によるものでなくて、当該国が国際法による法人格として存在するという単純な事実によるものである。
第5条 (国家の基本的権利)
国家の基本的権利は、これに何らかの影響をも及ぼすことができないものである。
第6条 (承認の意義)
国家承認とは、承認する国家が国際法により決定された全ての権利及び義務とともに他国の法人格を認めることを言うに過ぎないものである。承認は、無条件のもので、取り消しえないものである。
第7条 (承認の方法)
国家承認は、明示的又は黙示的であることを問わない。黙示的合意は、新国家を承認する意思を暗示する行為から生じる。
第8条 (内政不干渉義務)
いかなる国も、他国の内政又は外政に干渉する権利を有しない。
第9条 (内外人の平等)
国家の自国領域内における管轄権は、すべての住民に適用される。
国民及び外国人は、法律及び国内当局の同一の保護下にあり、また、外国人は、国民の権利と異なる又はこれより広い権利を要求することはできない。
第10条 (紛争の平和的解決)
国家の最大の関心は、平和の維持である。国家間に生じるいかなる種類の紛争も、承認された平和的手段により解決しなければならない。
第11条 (領域の不可侵)
締約国は、武器の使用、外交代表者を脅迫すること又は、他のいずれかの有効な強制的措置のいずれによるかを問わず、強制力によって獲得した領域の取得又は特殊の利益を承認しないという厳格な義務を、その行動の規則として明確に確立する。国家の領域は、不可侵のもので、一時的であっても、直接であるか間接であるか、又は理由のいかんを問わず、軍事的占領、又は他の強制力による対象となってはならない。
国際連合憲章に従った国家間の友好関係と協力に関する国際法諸原則についての宣言(友好関係宣言)(抜粋) 1970年10月24日採決
国家主権平等の原則
すべての国家は主権平等を享受する。すべての国家は、経済的、社会的、政治的又はその他の性質の相違にかかわりなく、平等の権利及び義務を有し、国際社会の平等の構成員である。
特に主権平等は次の諸要素を含むものである。
a 国家は、法的に平等である。
b すべての国家は、完全な主権に固有の諸権利を享有する。
c すべての国家は、他の国家の法人格を尊重する義務を有する。
d 国家の領土保全及び政治的独立は、不可侵である。
e すべての国家は、その政治的、社会的、経済的及び文化的体制を自由に選択し発展させる権利を有する。
f すべての国家は、その国際的義務を完全に勝つ誠実に履行し、他の国家と平和に生活する義務を有する。
法人格とは、その実体が法的権利義務関係を結ぶことのできるもののことを言う。そして、国際法人格というとき、国際法における法的権利義務関係を締結できるもののことを言う。従来、国際法上法人格を有するのは国家のみであったが、今日的には、事情の変化の中で、国際機構や個人にも国際法人格が付与されている。
しかし、国際機構や個人の国際法人格は、依然として制限的であることに注意しなければならない。それは、国家が国際機構や個人に対して、国際法人格を付与することによって行われるという派生的な意味においてのみ認められるからである。すなわち、国際機構を設立するのは国家であり、個人に対して人権を付与するのは国家であるという理論である。
ここでは、中心的国際法人格である国家についてみていく。
現在、冷戦の終結に伴い、国家の変動が相次いで起きている。このことからも国家とは必ずしも固定的な存在ではなく、成立や消滅、拡大や縮小を繰り返す変動的なものといえる。
国際法上、国家が成立するには次の要件が必要とされる。
これらの1から3の要件には明確な基準があるわけではなく、国際法上、国家としての人口や面積や政府の安定度というものは規定されていない。また、3と4は密接に関連していて、対内的に政府が実際に支配を確立し、対外的には他の国家から独立していることをあらわす。このような考え方は、実効性の原則とも呼ばれている。1から3があって4がないものとしては、日本における地方自治体や、米国における州がある。
国家承認の要件としては、客観的要件として、国家の要件を満たしていること。主観的要件として、承認される国が国際法を守る意思と能力を持っていることが必要とされる。国家承認の例としては、1778年の独立戦争時のフランスのアメリカへの国家承認があげられる。これらの要件を欠いた国家承認は尚早の承認とされ、国際法違反とされる。特に武力による母国からの分離独立を目指す新国家への早尚な承認は、母国への内政干渉として違法とされる。
政府承認の要件としては、
特に2に関して、旧政府の条約上の義務を受け継ぐことが必要とされる。政府承認の例としては、1936年のドイツ・イタリアによるスペインのフランコ政権の承認があげられる。
国家承認の結果、承認した国家と承認された国家の間には、国際法上の権利義務関係が成り立ち、承認された国家は国際法上の権利能力を得ることになる。この効果は、承認した国家と承認された国家の間でのみ発生するので、第三国には適用されない。これを国家承認の相対性という。
このように国家が成立した際に、既にある国家の承認が必要であるのだが、どの時点で「成立」したかという点で国家承認の法的性質の二つの見方が存在する。
両説は、国家の成立から承認までの間の地位が異なるが、現在は宣言的効果説が有力である。
政府承認は、新政府がその国家を代表することを承認国が認める行為であるため、その効果は承認される国と承認する国の間でのみ生じる。その効果は
特に、2の具体例としては、ソ連成立後に、イギリスがソ連政府にロシア革命以前に締結した条約の効果が、無効又は破棄されない限り自動的に復活するという通牒を送った。
国家の国際法主体として持つ一般的権利義務は、慣習国際法及びその国家が締結する条約における権利義務である。その中でも、国家である以上は当然にもつと考えられるような権利義務のことを、国家の基本的権利義務という。権利の面を重視して国家の基本権とも言われるが、国家の基本権の概念は、もともと自然法思想に根ざしており、そのまま国際法上の権利とすることは不可能である。したがって、ここで取り上げる基本権は、国際法を前提にして認められるものであり、他国との合意によって制限されることもありうる。
国家の基本的権利義務の中で重要なのは、内政不干渉義務、国家平等の原則、裁判権免除、平和的解決義務、自衛権などで、それら権利義務関係の総体が、国家主権という概念である。
国家主権には二つの側面が含まれる。一つは、国内における上位者の下位者に対する関係としての対内主権、もう一方は、支配者又は国家自身の他国に対する関係としての対外主権である。
独立権が他国に支配されない権利なのに対して、他国の国内問題に対して国際法に違反する方法により強制を加え、または、干渉してはならないという義務をいう。
独立権を意味する対外主権から、国家は自己を拘束する法規・決定などの作成に平等に参加できるという意味が導き出せる。これを国家平等の原則という。
裁判権免除とは、国家が、その行為や財産について、外国の裁判所に提訴され、その管轄権に服さないことをいう。それは、「対等なものは対等なものに支配されない」とする主権の原則によるものである。従来的には、国家の全ての行為や財産は無条件に主権免除を認めるという「絶対免除主義」が主流であったが、国家行為の多様化により、国家の権力を
に区別し、主権的行為にのみ免除を認める「制限免除主義」が今日的には慣習法化している。ただし、いかなる基準で区分するかには争いがある。
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