AMF構想及び新宮沢構想、スワップ協定

アジア危機で直接被害を受けた国
韓国、フィリピン、タイ、マレーシア、インドネシア
G7
日本、米国、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、カナダ
ASEAN(+3) (東南アジア諸国連合)
ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム(、日本、中国、韓国)
APEC(Asia ­Pacific Economic Cooperation:アジア太平洋経済協力)
日本、豪州、ブルネイ・ダルサラーム、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプア・ニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、タイ、米国及びベトナムの計21カ国・地域
アジア欧州会議(ASEM - Asia Europe Meeting
アジア側が日中韓とASEAN7カ国(ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイとベトナム)、欧州側がEU加盟15カ国(オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、イギリス)と欧州委員会の、計25カ国と1機関

本アジア系資料において、「アジア」とは特にタイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、韓国、香港、中国の9カ国(地域)を念頭におく

AMF構想

 日本は1997年のアジア通貨危機後、アジア通貨基金(AMF)構想を提案し、ドル依存を脱却して国際貿易において円を使うよう呼びかけた。宮沢喜一蔵相は、首脳会議前のG7蔵相会議で「アジアの通貨、経済危機が生じた背景には、巨大な国際資本が投機的に動き、経済が不安定になったことに問題がある」と述べ、対策の必要性を強調した。

 しかし、アメリカ、中国、IMFが政治的・倫理的に反対したために「アジア通貨基金構想」は潰されてしまった。「政治的反対」とは、アジアがまとまることについてアメリカが本能的に警戒し、日本が主導権を握るグループが出現することに中国が過敏に反応し、自らの存在意義が問われることをIMFが嫌ったということである。また、「倫理的」には、IMFとの関係が問題にされて、IMFよりも緩い貸付条件(ソフト・コンディショナリティー)であれば規律の喪失(モラル・ハザード)が起こるし、協議機関であればかまわないが、IMFと重複する組織は不要だということであり、アジアに地域的グループをつくることに対する反対であった。

 結局、2000年のサミットにおいては、日本の意欲は認めても、実際にどれほどの実行力があるのか、まだわからないとされ、G7蔵相会議では「国際的な金融システムを強化する」ことで一致したが、具体案や新しい現実的な議論もなく、蔵相たちはアジア基金について検討もしなかった。

新宮沢構想、スワップ協定

 各国経済の相互関係が非常に強くなっているアジア地域においては、通貨・金融危機後の経済困難を克服する過程で、持続的な成長を支える安定的な経済・金融システムを構築するためには地域的な取組みが必要であること(構想の名前や形式はともかく)について、共通の認識が醸成されてきている。

 1999年11月に開催されたASEAN+3の非公式首脳会議では、通貨・金融分野の協力につきASEAN+3の枠組みを通じた東アジアにおける自助・支援メカニズムを強化することが合意された。WTO加盟を間近に控え、一層アジア経済における比重を増している中国を含めたASEAN+3の枠組みでの合意は、アジアにおいて地域協力を強化していく上で極めて重要な第一歩であると考えられる。

 これに先立ち、日本は新宮沢構想を打ち出していた。新宮沢構想とは、具体的には

  1. 我が国からの直接的な公的資金協力による支援(アジア諸国への輸銀融資の供与、アジア諸国の発行するソブリン債 [1] の輸銀による取得、アジア諸国への円借款の供与)、
  2. アジア諸国が国際金融資本市場から円滑に資金調達できるようにするための支援(保証機能の活用、利子補給)、
  3. 国際開発金融機関との協調による資金支援、
  4. 技術支援

が行われる。通貨危機に見舞われたアジア諸国の経済困難の克服を支援し、国際金融資本市場の安定化を図るため、アジア諸国の実体経済回復のため、日本は中長期の資金支援として150億ドル、短期の資金支援として150億ドル、合わせて全体で300億ドル規模の資金支援スキームを用意した。

 そして、2000年5月のASEAN+3蔵相会議で合意されたチェンマイ・イニシアティブに基づく二国間スワップ取極については、2001年5月9日ASEAN+3財務相会議で、日本と韓国、タイ、マレーシアの間で総額60億ドルの通貨交換(スワップ)協定を締結することで合意した。この協定は、相手国から国外に急速に資金が逃げ出した際、日本などが持つ外貨準備と相手国の通貨を交換する形で主に米ドルを融通し、金融危機の深刻化を防ぐことを目標にしている。

 こうした域内の通貨・金融協力の枠組みは、通貨・金融危機に対する予防メカニズムとして機能するとともに、アジア各国の経済情勢についての緊密な意見交換や相互理解を促進させるものとして期待されている。このシステムを発展させ、二国間のスワップ協定から、ASEANによる多国間へ発展させ、後のAMF設立へと発展させる構想も視野に入れられている。

 ただし、97年当時のような通貨危機がアジアを襲った場合、2国間の通貨交換が十分に効果を発揮するとは専門家は考えておらず、「通貨交換という手段よりももっと必要なことは、財政的な外交だ」と指摘している。

国際金融機関

 ここでは、国際金融機関を確認しておく。

国際通貨基金(IMF)

1.沿革

 国際通貨基金(IMF)は1946年3月に設立された政府間機関で、その目的は協定第1条により、次のように定められている。

2.機能

 ブレトンウッズ会議の参加国は、IMFに3つの機能を与えた。

  1. 為替レート政策および経常勘定取引での支払い制限に関する行動基準を管理、運営することである。
  2. 国際収支の不均衡を是正あるいは回避しようとする加盟国がこの基準を順守できるようにするため、財源を提供することである。
  3. 加盟国が国際通貨問題について協議し、協力するための話し合いの場を提供することである。

3.IMF資金の利用

 IMFは国際収支の赤字を抱える加盟国に対し、一定の政策と規則の範囲内で、一時的に資金を提供する。加盟国への貸し出しには2つの原則がある。

  1. IMFが保有する通貨は全加盟国のためのものだということである。したがって通貨を借り入れる加盟国は、他の加盟国もこれを利用できるようにするため、赤字が解消でき次第、直ちに返済することが義務付けられる。
  2. 加盟国は借り入れに先立ち、通常の返済期間である3年から5年以内(場合によっては10年まで延長可能)に返済を終えるため、どのような赤字解消計画を持っているかを明示しなければならないということである。

世界銀行グループ(WB)

 世界銀行グループは、国際復興開発銀行(IBRD)、国際開発協会(IDA)、国際金融公社(IFC)、多数国間投資保証機関(MIGA)及び投資紛争解決国際センター(ICSID)から構成される。

国際復興開発銀行(International Bank for Reconstruction and Development : IBRD)

沿革、目的と活動

 国際復興開発銀行(IBRD)は、1944年に44カ国が参加してアメリカのニューハンプシャー州ブレトンウッズで開かれた国連通貨金融会議で採択された協定に、28カ国が署名したことによって設立された。

 その目的は、

などである。

 IBRD協定は、その活動の基本原則を次のように規定している。

  1. 貸し付けは復興又は開発の特定の事業計画(プロジェクト)のみに対してしか行わず、返済の見通しに十分な考慮を払わねばならない、
  2. 貸し付けは加盟国自身が借入人でない場合にはすべて当該政府(又は中央銀行等)によって保証されねばならない、
  3. 必要な資金が、妥当な条件では他の融資先から入手できないことを確認しなければならない、
  4. 貸し付けの用途が、特定の加盟国あるいは加盟諸国での買い付けに限定されることは認めない、
  5. 貸し付け供与の決定は、経済的考慮のみに基づくものでなければならない、

などである。1980年以降は、接続的な経済成長と国際収支安定の回復・維持に必要な政策、制度改革を支援する構造調整貸し付けを提供している。

 銀行の資本金は加盟国が出資し、貸し付けは主として、国際市場での調達と内部留保、返済金などでまかなわれている。貸し付けは加盟国かその政治的下位区分、あるいはその領域内の民間企業に対して行われる。また、貸し付けを供与するほか、保証及び広範囲にわたる技術援助サービスも提供している。

国際開発協会(International Development Association : IDA)

沿革、目的と活動

 貧しい諸国の多くに対しては、国際復興開発銀行(IBRD)の場合よりもはるかに有利な条件で融資をする必要があることが1950年代に明らかになったため、国際開発協会(IDA)は1960年、この必要性を満たすIBRDの姉妹機関として設立された。

 IDAの資金の大部分は、

の3つの財源でまかなわれている。

 IDAの融資を受けられる国は、以下の3つの基準等に基づき決定される。

などである。

 IDAの融資のほとんどは、運営費をまかなうための少額の手数料を必要とする以外は無利子の、期限40年(最長)の長期貸し付けである。元本の返済は、10年間の据え置き期間後に開始することになっている。

国際金融公社(International Finance Corporation : IFC)

目的と活動

 国際金融公社(IFC)は国際復興開発銀行(IBRD)と密接な関係にあるが、法的には別の存在で、資金もIBRDのそれとは別個のものである。

 IFCの目的は、

などである。

 IFCの投資は主として製造業を対象としてきたが、現在では鉱業とエネルギー、観光、公益事業および農業関連事業なども含むようになっている。資金は主に加盟国の出資金と留保利益によってまかなわれている。

多数国間投資保証機関(Multilateral Investment Guarantee Agency : MIGA)

沿革、目的と活動

 多数国間投資保証機関(MIGA)は1988年4月に正式に発足した。1996年6月現在で134カ国が加盟し、このほか21カ国がすでにMIGA条約に署名して加盟の手続中である。

 MIGAの基本的な目的は、投資家に長期的な政治的リスク保険(たとえば没収、通貨の移転、戦争および内乱などのリスクに対する補填)を提供することによって、また助言と諮問サービスを提供することによって、加盟する開発途上国への生産目的の民間投資の流れを促進することである。

参考文献


[1] ソブリン債とは、各国政府や政府機関が発行する債券の総称で、自国通貨建て、外貨建てがあります。また、世界銀行やアジア開発銀行など国際機関が発行する債券もこれに含まれます。

history of update
ver.1.11 2004.01.11 added table of contents and a few links.
ver.1.01 2003.11.27 opened to the public, modified.


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